記号それ自体は、紙の上のインクや造形された物体、空気の振動などでしかないが、人間がこれらを何らかの意味と結び付けることにより記号として成立する。そして記号は、他の記号と共にまとまった集合体となったり、あるいは相互に作用し合ったりして、何かを指し示す。
19世紀後半から
20世紀にかけて、人類は、科学や技術、政治・経済、思想などの面で大きな飛躍を遂げたが、その中で記号は重要な役割を果たした。とりわけ自然科学においては、自然現象を記号化し、それらを操作することによって新たな認識を深めていき、人類のあり方をも左右するに至った。これにより、あらゆる認識は記号によってのみ実現するとまで言われた。今日に通じる
記号学も同時期に研究が始まる。記号学は
言語学の中から出てきたものであるが、単に言語における記号の働きを研究しただけでなく、記号が人類にもたらす諸作用をも研究対象としていき、
哲学における大きな柱の一つとなった。