中高一貫教育 wikipedia|無料辞書
中高一貫教育(ちゅうこういっかんきょういく)とは、前期
中等教育(一般の
中学校で行なわれている教育)と後期中等教育(一般の
高等学校で行なわれている教育)の課程を調整し、無駄をはぶいて一貫性を持たせた体系的な教育方式のことである。
また、これを行なっている学校を
中高一貫校(ちゅうこういっかんこう)と言う。
無試験で上級学校に進学する学校を俗に「
エスカレーター式」「
エレベーター式」と呼ぶこともあるため、
中等教育学校や中高一貫校もこのように呼ばれることがある。
◆分類・統計
実施校には以下の3種類がある。(2003年の統計)
・中学校の課程と高等学校の課程を統合した一体の学校。中学校に相当する前期課程と高等学校に相当する後期課程がある。前期課程を修了すると中学校を卒業したものと同じ資格を持つ。通常後期課程の募集は行われないが、発足当初は生徒を募集することがある。
・全16校。公立5校。私立9校。国立2校。
・ 併設型(中学校・高校)
・同じ設置者(都道府県・市町村など)が中学校と高等学校を設置して接続するタイプ。中学校から高等学校へは無選抜で進学することが出来る。また高等学校は外部からの募集も行う。
・全50組。公立26組。私立23組。国立1組(中学校と高校を合わせて1組とした)。
・ 連携型(中学校・高校)
・設置者が異なる中学校と高等学校が連携して教育を行うタイプ。中学校の教師と高校の教師がチームティーチングを行ったり、教育課程をスムーズに接続したりする。連携中学校から高校へは簡便な試験で選抜する。また高校は、一般の試験で、他の中学校出身者を受け入れる。
・高校は全54校。公立54校。国立0校。
・中学校は全133校。公立132校。国立1校。
・私立1組。
・中学校と高校で数が違うのは複数の中学校が同じ高校に連携しているため。
上記の数字は公式に認定された中高一貫校のみであり、ある中学校からある高校に一般入試をせずに進学できる場合(内部進学)も、両校を中高一貫校と呼び慣わしているため、実質的な一貫校はもっと多い。代表的な一貫校はいずれも上記の数字には入っていない。このように、実際には私立中高の大部分が一貫校と考えられる。傾向としては、
国立・
私立には中等教育学校や併設型が多く、
公立には連携型が多い。
◆高校募集
外部からの優秀な生徒を入れることによって、生徒に緊張感を持たせて一貫校特有の中だるみを防ぐことを目的としている学校がある。中高一貫校の高校入学組は中学受験のリベンジを目指した生徒が多い。高校入学組の平均的な学力は高く、最下位の高校入学組でも全体の中位程度だという説がある。国立の中高一貫校の場合は、中学から高校に進めない場合があるので、高校から入学したほうが良いという考えもある。
それに対して、高校募集をしない学校を完全中高一貫校と言う。高校募集を停止して完全中高一貫校になる学校が徐々に増えつつある。その背景として、外部生(高校入学組)は入学時の学力は高いものの、中高一貫したカリキュラムを受けた内進生に比べて進度が遅いことがある。高校募集を継続していても、高校から入学した生徒への未履修分野の補講が必要となったり、中には、高校から入学した生徒を中学からの内進生のクラスに組み込まず、別クラスにする学校もある。中等教育学校も基本的に後期課程募集はしない。
なお、中高一貫校と銘打ちながら、中学卒業段階で県立の進学高に生徒の多くが流出し、系列高校への進学が少ないため、中学は評価が高いものの、高校は中学と比較して評価が著しく低く、中高一貫校としての評価が全く得られていないという、東京、京阪神等の中高一貫校(
履正社中学校・高等学校を除く)では見られない特異な現象が起きている学校もある(
愛知県東三河地方の
桜丘高等学校等の中高一貫教育校など)。
私立の中高一貫校では同じ学校法人によって、「高等学校のみ」の学校を別に設置している所もある。学校により、中高一貫校で「○○中学高等学校」、高等学校では「○○高等学校」と名称するところや中高一貫校を6年制、高等学校を3年制とコースづけしていたりする。
この場合、高等学校のみの学校が中高一貫校より学力が低くなる傾向があり、高校受験において公立高等学校に対する「
滑り止め」と位置づけられることがある。その結果、同じ名を冠する学校でありながらそれぞれ「進学校」「教育困難校」という二極分化が起きることがある。
また、
制服についても一見似ているが、中高一貫校の方が高価な素材を使ったり、校舎や卒業式挙行を別々に行ったりするなど、学校法人側でも差別化・序列化を図っていることがある。
◆制度変更
◆ 中高一貫教育のメリット・デメリット
中高一貫校では高校・後期課程進学時に
高校受験が不要または簡単な試験で済むため、6年間のうち大部分を試験勉強に追われずに過ごせるという点が人気の一因となっている。これは従来、一定以上の学力成績を達成していれば、確実に地元の公立普通科高校に進学できるようにした
総合選抜制度などで実現されていたことでもある(その後、総合選抜は進路選択の余地が少ないなどの拘束性が嫌気されて、徐々に衰退していった)。
高校受験などの負担が少ないことは大きなメリットの一つであるが、主に生徒自身の学習態度の違いによって、学年が上がるにつれて、学校内での生徒間の学力差が顕著になる傾向がある。
中高一貫校の中には高校段階で募集をしていない学校も多いため、学校の校風が自分に合わなくても別な学校に進学しにくいという問題もある。それでも高校募集をしている高校に受かれば転校は可能だが、中学校によっては、外部の高校を受験すると、落ちた場合でも附設の高校に内部進学する資格を失ってしまうという
ペナルティ規定がある場合もある。なお、私立大学の附属校は一般入試を受けなくても大学に内部進学できる場合が多く、そのため、難関大学の附属校は人気が高くなっている。
また、中高一貫校では教育熱心で、そこそこ裕福な家庭で暮らしている生徒のみが6年間同じ環境で過ごす場合が多く、異質な生徒との交流機会が余り無い為、狭い世界しか知らない偏った考えの持ち主になってしまうという批判が有る。教育学者の
藤田英典は、中学校の選択は親の関心が優先しがちなため、公立中高一貫校も「選ばれた生徒だけの特別の学校」になるのは構造的な必然であると指摘している